【コロナ禍】2021年中学受験への影響
新型コロナウイルス感染拡大により、今後、世の中は大きく変化していきます。
大学受験に関しては、文部科学省から変更の可能性が示唆されていおり、高校受験を控える中学生についても、地域の学習方法の差が不公平とならないように各自治体に注意を喚起されています。
では中学受験については、今回の新型コロナによる休校の影響はあるのでしょうか?
今回は、来年の中学入試で起こりうる変化予想します。
国公立中高一貫校の志望者の増加
保護者が、大企業や公務員などに正規でお勤めするご家庭は、外出自粛やリモートワークになっても、短期的には、収入に大きな影響はないと思われますが、影響が長期化すれば、賞与の減少や昇給幅の縮小だけでなく、リストラなどが起る可能性があります。
また、保護者が、企業経営者や個人事業主やフリーランスの場合は、業種によっては収入に大きな影響があったり、将来的に大きな影響が予想されるご家庭も少なくないと思われます。
受験するか否かが任意な中学受験においては、コロナウィルスの影響が顕著になる可能性が高いと予想されます。
これまでにも、リーマンショックや東日本大震災の際には、急激な受験者数の減少が起っており、リーマンショックでは家計収入の不安が大きな要因であった。東日本大震災では、放射性物資の拡散による健康不安や、計画停電による通塾を含めた学習時間の確保の不安が、大きな要因となりました。
今回の新型コロナウィルスの影響では、過去の2つで見られたような影響が同時に起こっています。つまり、収入面での不安、健康面や学習面での不安です。
中学受験への影響は、どれくらい長期化するかにもよりますが、今後数年、総受験者数の減少が予想されます。
しかし、影響は、中堅以下の私立中学で大きくなる可能性が高く、御三家や最難関私立校、国立大学附属校や公立中高一貫校はあてはまりにくいと予想します。
何が何でも受験しようと考える親子の割合が相対的に低くなり、公立中学に通わせる方が、健康面でも、金銭面でも、より安心できると考える親子が、方針を変更する割合が高くなりそうです。
特に、女子校や、高校募集枠が大きい共学校は、チャンスが拡大する可能性が高い、と予想されます。
これに対し、御三家や最難関私立校を目指す親子は、優れた学習環境への志向が強いため、地元公立中学へ方針変更する割合は低くなりそうです。
それでは、公立中高一貫校はどうでしょうか。合格を競い合う受検生の多くは、御三家や最難関校と中堅校との、中間の学力層で、難関校を狙える学力層が多く、取りやめるとしたら、公共交通機関を使って通学することへの健康面での不安からと思われます。
国公立中高一貫校は、コロナの影響による受験者数の減少は相対的に起こりにくいと予想されます。
むしろ、経済的な不安から、もともと私立中第一志望だった層のかなりの親子が、国公立第一志望に変更して、競争が激化する可能性の方が高い。
公立中高一貫校を目指す受検生はもちろんですが、小学4、5年生も、激戦化の覚悟をしておいた方が良さそうです。
名目倍率は下がるかもしれませんが、実質倍率は上昇し、実質的な難易度も上昇すると予想されます。
中高一貫校の試験の内容を確認
中学受験の公立と私立のいちばん大きな違いは、入学者選抜方法です。
私立では学校ごとの科目試験がたてられますが、公立では「適性検査」や「作文」が課されます。
この公立中高一貫校受検の「適性検査」では、複数教科の知識を活用して論理的に考える力や表現する力が求められます。
選抜の種類と内容
選抜においては、ほとんどの学校で適性検査や作文の出題があり、さらに面接や抽選、あるいは二次検査を実施する所もあります。
選抜の資料には調査書・適性検査・作文・面接(志願書含む)の4つが挙げられます。
- 調査書 小学校の先生が作成する資料で、評定をメインに特別活動や行動や出欠などの記録になります。多くは5.6年生の2年間が対象です。
- 適性検査 学力試験ですが教科横断型の問題であり、小学校教育の知識をベースに、総合的に判断する力や自分なりの提案を言えるかなどの検査になります。
- 作文 一般的に、与えられた文章を読み、それに関する課題について自分の体験・経験、知識を絡めながら400~450字程度の作文を課されます。
- 面接 個人面接や集団面接など、学校によって形式が異なります。多くの学校では出願時に受験生本人の直筆による志望理由書が面接の資料になります。
休校に伴う試験への影響は?
上記では、選抜で評価される挙4つの調査書・適性検査・作文・面接を見てきましたが、いずれをみても、直接小学校教育の知識を問われる問題はありません。
生徒がこれまで学んだことや身につけた知識を総合的に使って答えを導き、自由に自分の考えを表現することが中心ですので、休校になったことが直接試験に影響を及ぼすことは無いと思われます。
むしろ、新型コロナについて、社会問題や時事問題として出題されることもあるかもしれません。