【理科】 2021年東京都立高校受験 入試問題分析と対策
目次
試験概要
試験時間が50分、100点満点、全体の問題数は例年25問ほどとなっています。ほとんどが記号問題で問題数もそこまで多くないのですが、その分思考力を問われる問題が複数出題されています。また、実験や自由研究レポートなど、その結果を読み取る能力を問う問題が多く出題される傾向にあります。
過去6年の平均点
令和2年度 53.4点
平成31年度 67.1点
平成30年度 61.5点
平成29年度 55.9点
平成28年度 50.6点
平成27年度 59.4点
理科の平均点の傾向
令和2年度の理科の平均点は53.4点となっており、平成31年度の平均点は67.1点とここ5年で最高点となっていたことから難易度が少し上がりました。
平成28年度以降易化してきている傾向がありましたがそもそも難易度は高かく、令和2年では少し難易度が上がり70点以上取れている受験生が大幅に減っているため、令和3年度ではさらにしっかり準備しておく必要があります。
物理・化学・生物・地学の4分野から均等に出題されるため、それぞれの知識をしっかり活かせるようにしておきましょう。
理科の出題傾向
大問1は、4分野(物理・化学・生物・地学)からほぼまんべんなく出題される小問集合。大問2は日常生活における探求をテーマに<レポート>が与えられた設問形式になっていて、4分野から均等に出題される。大問3で地学、大問4で生物、大問5で化学、大問6で物理分野から例年出題される。
1. 4分野の基本問題
2. 自由研究レポート問題
3. 地学領域の問題
4. 生物領域問題
5. 化学領域問題
6. 物理領域問題
また、平成31年度及び令和2年度の理科の得点分布は次のようになっています。
これらを参考に、各問題に対する対策を考えていきます。
大問ごとの対策
大問1 4分野の基本問題 合計28点
大問1は4分野の基本問題。物理・化学・生物・地学の各領域の中から基本的な問題が出題されます。
特徴としては小問の選択肢の中に何種類かの問題を組み込んであることがあります。
問題自体は基礎的となっているのですが、しっかり知識を定着させておかないと得点につながりません。
教科書レベルで大丈夫ですので、すべての分野を満遍なく学習しておきましょう。
大問2 自由研究レポート問題 合計16点
大問2は自由研究レポートを題材とした問題。過去にはろ過と蒸留、消費電力、雲のでき方などの問題が出題されていました。こちらも問われていること自体は基礎的なものです。
しかし、レポートの内容をきちんと読み取れるようにしておく必要があります。
日ごろから身の回りのことに関心を持って、頭の整理をきちんとすることを意識しておきましょう。
大問3 地学領域問題 合計16点
大問3は地学領域の問題。地震、天体、天気、地層の中から問題が出題されます。
これまでの傾向を見てみると、地学は1~3年の範囲が交互に大問になっています。
→平成28年:天体
→平成29年:天気
→平成30年:地層
→平成31年:地震
→令和2年:天体
令和2年度は天体の動きが出題されていたため、令和3年度は天気または地層の範囲が大問になる可能性が高いのではないかと思われるので、解けるようにしておきましょう。
大問4 生物領域問題 合計12点
大問4は生物領域の問題。からだのつくりとはたらき、植物、遺伝の問題の中から出題される傾向があります。
また、大問4においても1~3年の範囲が交互に大問になっている傾向にあります。
→平成28年:植物および遺伝
→平成29年:からだのつくりとはたらき
→平成30年:植物
→平成31年:遺伝
→令和2年:からだのつくりとはたらき
令和2年度はからだのつくりとはたらきが出題されていたため、令和3年度は植物のつくりまたは遺伝に関する大問になる可能性が高いのではないかと思われるので、解けるようにしておきましょう。
大問5 化学領域問題 合計16点
大問5は化学領域の問題。この範囲からは気体の発生と性質、水溶液、酸・アルカリ・塩、化学変化、イオン、質量保存の法則というようにとても広い範囲から組み合わせて出題されます。
過去の問題を見てみても予想するのは難しいため満遍なく学習しておく必要があります。
化学反応式などは難しいように思えて実はそんなに難しくないため必ず学習しておくようにしておきましょう。
大問6 物理領域問題 合計12点
大問6は物理領域の問題。物理領域では計算問題が出題されます。範囲が広いため、法則や公式を用いた計算がしっかりできるようにしておきましょう。
また、大問6においても1~3年の範囲が交互に大問になっている傾向にあります。
→平成28年:回路と電流
→平成29年:運動とエネルギー
→平成30年:回路と電流
→平成31年:運動とエネルギー
→令和2年:回路と電流
令和2年度は回路と電流が出題されていたため、令和3年度は運動とエネルギーに関する大問になる可能性が高いのではないかと思われるので、解けるようにしておきましょう。
まとめ
これまでの傾向を見てみると、自由研究レポートや実験結果をもとにすべての問題が構成されている傾向があります。さらに、実験やレポートは大問ごとですがいくつか組み合わされており、単純な問題ではありません。特に大問3以降は思考力を要する問題が多く、基本的な実験や化学反応式、公式が頭の中に入っていることが前提となり点数を取ることは難しくなってきます。
しかし、しっかり問題を読んで整理していくとそんなに難しいことは問われていません。
正答率が低い問題もありますが、他の問題と難易度はほとんど変わりません。
まずは教科書レベルでいいので各分野の基礎がしっかりできるようになっておく必要があり、さらに情報をちゃんと整理する練習をしておきましょう。
そして、複雑な問題なのでうっかりミスもあるでしょう。見直しもしっかりできるよう、一問に時間をかけすぎないよう問題の出題傾向にも慣れておきましょう。