【数学】 2021年東京都立高校受験 入試問題分析と対策

目次
試験概要
試験時間が50分、100点満点、全体の問題数は約20問ほどで例年変わっていませんが、証明問題や作図など、時間のかかる問題が組み込まれています。
しっかり時間配分をしていかないとあっという間に過ぎてしまい時間が足りなくなってしまうため気をつけておく必要があります。
過去5年の平均点
平成31年度 62.3点
平成30年度 66.5点
平成29年度 56.3点
平成28年度 60.9点
平成27年度 62.0点
※令和2年度の平均点は公開され次第掲載いたします。
数学の平均点の傾向
都立入試数学の平均点は、毎年60点台前後となっています。
全体的に出題傾向も変わっていなかったため、令和2年度も大きな変化はなかったのではないかと考えられます。
平成31年度は80点以上取れている受験者が例年と比べて少なく、数学で差をつけようと狙っていた方にとっては厳しい年になっていたようです。
令和2年度も大きな変化があった可能性は低いため、令和3年度も同じような傾向になることが予想されます。
解答はマークシート方式で各大問の構成も変更がなく、都立入試の過去問から比較的簡単に予想できる科目です。
数学で差をつけるには、毎年正答率が悪い問題である大問2~5の最終問題が解けるかになります。
志望校の偏差値や倍率によっては、ここで差をつけるしかありません。
自分の内申点とも向き合って、目標点数をしっかりと把握しておく必要があります。
数学の出題傾向
都立高校入試 数学の出題傾向はここ数年変わらず、大問および出題傾向は以下のようになっています。
1. 数式と図形の基礎問題(正・負の数、文字式、根号のついた数、方程式、作図など)
2. 数、式についての思考問題
3. 一次関数・二次関数
4. 平面図形・証明問題
5. 空間図形

また、平成31年度の数学の得点分布は次のようになっています。
令和2年度の得点分布は公開され次第掲載いたします。

これらを参考に、各問題に対する対策を考えていきます。
大問ごとの対策
大問1 数式と図形の基礎問題 合計46点
大問1は基本問題。数・式の計算や平方根、方程式、作図などがあります。
一番点数を稼ぐことができる問題なので、この大問1は確実に満点を取れるようにしておきましょう。
特に正・負の計算、文字式の計算、根号のついた数の計算は毎年出ているため、来年も必ず出ます。
また、一次方程式、二次方程式、連立方程式も毎年出ており、二次方程式は解の公式を使って解く問題がよく出ています。
内容は変わりますが、基本作図も毎年出ており、特に円と角度の問題はよく出る傾向にあります。
令和3年度には確率の問題も出題される可能性が高く、忘れないように勉強しておきましょう。
これらは教科書レベルのやさしい問題のため、後々の応用問題に時間を使うために大問1はすばやく解く必要があります。
簡単な計算や作図の問題に手こずらないように時間を計りながら練習しておくと良いでしょう。
大問2 数、式についての思考問題 合計12点
大問2は規則性を見つけ、それを証明する問題。図形の計量についての思考力を問われます。
毎年出題されるパターンが異なっていますが、令和2年度は円柱の展開図を用いた問題でした。
特に問2は数式を使った完全記述証明問題となっており、例年正答率が悪い難問となっています。
平成31年度の正答率は5%程度となっているようで、ほんの一握りの生徒しか解けていません。
しかし、今後の入試改革によって思考力を問われる問題は増えていく可能性があるようです。
ここを練習するには、問題文をよく読み、問題の意味をよく理解することが大切です。
その上で記述説明の練習をしっかりしておきましょう。
大問3 一次関数・二次関数 合計15点
大問3は関数と図形の融合問題。点の座標、直線の式のような問題が毎年出題されています。
直線・曲線が組み合わさって交点を求める問題や2点を通る直線を求める問題、面積を求める問題などが出ているようです。
この問題を解く上では、図形の性質から作る方程式を解く場合がよくあります。
問題の傾向は予想しやすいのですが、ミスも多く出てしまう箇所です。
数学で周りと差が出てしまう方はうっかりミスが多く、この大問3のような問題では一つのミスが命取りになります。
数学で周りに差をつけようと考えている方は十分注意しながら解く練習をしておきましょう。
大問4 平面図形・証明問題 合計17点
大問4は四角形の平面図形問題。三角形の相似の完全記述証明問題もあります。毎年似た問題が出題されていますが、問2(2)の正答率は毎年全体の10%以下となっているようで非常に難問となっています。
しかし、過去8年間の問題の種類と条件を見てみると、この証明問題には次のような法則があるようです。
→平成25年度:合同(1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい)
→平成26年度:相似(2組の角がそれぞれ等しい)
→平成27年度:合同(2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい)
→平成28年度:相似(2組の角がそれぞれ等しい)
→平成29年度:相似(2組の角がそれぞれ等しい)
→平成30年度:合同(2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい)
→平成31年度:相似(2組の角がそれぞれ等しい)
→令和2年:合同(2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい) NEW
これらを見て分かる通り、相似と合同が交互に出題される傾向があります。平成28年度と29年度で少し崩れていますが、その後はまた交互に出題されています。
そうなってくると、令和3年度は相似が出る可能性が高いため、切り捨てるくらいなら相似の証明に必要な記述を間違いのないように暗記し、解き方を練習しておくと良いでしょう。
大問5 空間図形 合計10点
大問5は立体の空間図形。三平方の定理や相似を使う問題が多く、角柱・角錐での計量が毎年出ています。
しかし、他の大問と比較しても、空間図形は問題自体が難しくなっています。特に問2は例年体積を求める問題が出ていますが、毎年正答率は10%程度となっているようで難問となっています。
数学で差をつけたい方は十分に練習して早めに準備しておく必要があるため気をつけてください。
まとめ
これまでの傾向を調べていると、一部難問を除く大問1~4は比較的点数を取りやすく、それだけでも60点以上は確保できます。
数学は点数に偏りがあり、毎年平均点は60点前後となっているため、来年度の入試に向けて勉強するためには、まず、この一部難問を除く大問1~4をノーミスで解けるようになっておく必要があります。
計算ミスをなくし、すばやく正確に問題を解く練習は必ず将来の財産になります。
これらが完璧に解けるようになったら大問2~4の難問および大問5を勉強しておくと周りと差を付けることができるはずです。
自分の内申点ともしっかり向き合い、志望校の偏差値から取るべき目標点数を決め、とにかく必要な演習問題をこなしましょう。