休校長期化への対応パターンメリットデメリット 夏休み短縮・土曜授業、9月入学・新学期、学習内容削減etc.

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休校長期化への対応パターンメリットデメリット 夏休み短縮・土曜授業、9月入学・新学期、学習内容削減etc.

 地域によっては、休校が長引く可能性がでてきました。既に5月末まで休校延長を決めた自治体もあり、緊急事態宣言の解除も不透明であるなか、文部科学省として小1・小6・中3の3学年の登校を先行させる指針を示しました(5/1現在)、また安倍晋三首相は30日の参院予算委員会で、新型コロナウイルス感染拡大を巡り、学校の9月入学制導入に関し「9月入学も含め、さまざまな選択肢を検討していく必要がある」との発言もあり、また、同日政府は実現に向けた具体的な検討作業に入りました、様々な方針があると思われますが、今般の新型コロナウィルスに伴う休校後の学校再開について複数のパターンを考えてみます。

 

パターン1:「授業時間の確保」夏休み短縮、土曜授業を実施

まず、各自治体の今回の休校処置に伴う対応について確認してみます。
4/29読売新聞の調査で下記の結果が紹介されています。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、全国の小中高校が休校を余儀なくされるなか、全国121自治体の半数を超える63自治体が、「夏休み短縮」で学習の遅れを取り戻すことを検討していることが読売新聞の調査で明らかになった。学校再開については、緊急事態宣言の期限後の5月7日としたのは東北や九州を中心に16自治体、延長の有無などをみて判断するとしたのは25自治体だった。
休校で失われた授業時間の確保策(複数回答)については、「夏休み短縮」が最多の63自治体(52%)で、次いで、「修学旅行など学校行事の縮小」(59自治体、49%)、「土曜授業の実施・拡充」(34自治体、28%)だった。

読売新聞社

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「夏休み短縮」及び「修学旅行など学校行事の縮小」の動きが多いがそれぞれ50%前後ですが、仮に5月末、またはさらに休校が長引いた場合、行事の縮小だけで、十分な時間の確保は難しいでしょう。

 一つ目パターンは、「授業時間の確保」。具体的には、夏休みの短縮、7限目実施、土曜授業等です。

 これは、スケジュールを変更するだけで、授業時間を確保できるという意味では、実行しやすいパターンではありますが、子どもたちへの影響について考えると、楽しみにしている夏休みが大幅にカット、土曜も授業、平日も通常以上の学習時間となると学習意欲が減退する可能性があります。そういう点では、教育上の効果は高くないかもしれません。

 授業時間を確保することも大切ですが、1年間に予定していたカリキュラムをきちんと履行できるようにすることが目的、目標であると思いますが、単純に授業時間を延ばすと、その本来の目的から遠ざかる危険性があります。

 また、土曜日や夏休みなど、子どもたちの自由時間も大切です。学校生活だけでなく、家族と過ごしたり、自分の好きなことに打ち込んだりする時間、ゆとりも必要と考えます。もともと、週休2日制が導入されたのは、子どもたちに、学校以外の多様な経験をしてもらうというねらいもあり、授業時間の確保のためだけにカットしていいことばかりではないでしょう。

土曜授業とは?

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土曜授業とは

かつて公立学校で半日で行われていた土曜授業も、今では学校ごとの方針に則って行われ、多くの学校は週休2日制をとっています。ではいつから土曜日は休日になったのでしょうか。
 土曜日を休みにするという方針は段階的に取り入れられ、1992年には月1回(第2土曜日)を休みとすることから始められました。3年後の1995年には第4土曜日も加わり月2回に増え、開始から10年経った2002年にはすべての土曜日が休日となりました。
 では、なぜ土曜日授業は無くなったのでしょうか。その理由は“詰め込み重視型”の教育にありました。かつて日本では知識をとにかくたくさん覚えることを目的とした詰め込み型の教育を行っていましたが、それによって子どもにストレスがかかり、いじめや引きこもり、熾烈な受験戦争が引き起こされていると考えられていました。
 こうした声の高まりを受けて文部科学省は、子どもたちに「新しい学力」として、知識の詰め込みだけではない学習やさまざまな体験をしてもらうため、授業内容の削減と総合的学習の時間の追加等を実施しました。そしてこれまでの土曜授業は廃止し、その代わりに有意義に時間を使うよう促すことになりました。
 ところが、完全週5日制が始まると意外な結果が表れはじめます。これまで世界で高水準をキープしていた日本の教育水準がみるみる低下したのです。また、詰め込み重視型が緩和されたあとの教育を受けた世代を「ゆとり世代」と呼ぶようになりました。
 この土曜日を休日とする規定は、学校教育法の改定により法的拘束力を持ちました。対象は公立小中高校で、私立校においては各学校の判断に任されたため、完全週5日制になった後も、私立校では土曜日の授業を続けるところもありました。

 

土曜授業は教職員の労働環境にも影響

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 このオプションは、教職員への影響も大きくなります。夏休みの大幅なカットや平日と土曜の授業の増加等を行うと、教職員も休養や、研修などの、視野を広げる時間が少なくなります。授業準備時間も例年より短くなり、1年間に予定していたカリキュラムをきちんと履行する目的から遠ざかる可能性があります。

 学校は、平時でも過労死ライン超えの過重労働が多いといわれているなか、このコロナ禍のなかで、教職員に感染症対策の徹底を求め、休校中の授業の遅れを取り戻し、平時同様の対応を求め、そのうえ、土曜授業の増加や夏休みの返上を進めては、教職員の労働条件をさらに悪化させかねません。教職員の過労死防止やメンタルケアも一層心配になってきます。

文科省「教員勤務実態調査」(平成28年度、2017年)

 教職員も、労働基準法は適用される為。ほとんどの自治体では、条例等で、教員の勤務時間は週38時間45分と規定しています。

労働基準法第32条(抜粋)

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労働基準法第32条(抜粋)

第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
○2 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
第三十二条の二 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は就業規則その他これに準ずるものにより、一箇月以内の一定の期間を平均し一週間当たりの労働時間が前条第一項の労働時間を超えない定めをしたときは、同条の規定にかかわらず、その定めにより、特定された週において同項の労働時間又は特定された日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。
○2 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の協定を行政官庁に届け出なければならない。
第三十二条の三 使用者は、就業規則その他これに準ずるものにより、その労働者に係る始業及び終業の時刻をその労働者の決定に委ねることとした労働者については、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、その協定で第二号の清算期間として定められた期間を平均し一週間当たりの労働時間が第三十二条第一項の労働時間を超えない範囲内において、同条の規定にかかわらず、一週間において同項の労働時間又は一日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。
一 この項の規定による労働時間により労働させることができることとされる労働者の範囲
二 清算期間(その期間を平均し一週間当たりの労働時間が第三十二条第一項の労働時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、三箇月以内の期間に限るものとする。以下この条及び次条において同じ。)
三 清算期間における総労働時間

公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法

第五条 教育職員については、地方公務員法第五十八条第三項本文中「第二条、」とあるのは「第三十三条第三項中「官公署の事業(別表第一に掲げる事業を除く。)」とあるのは「別表第一第十二号に掲げる事業」と、「労働させることができる」とあるのは「労働させることができる。この場合において、公務員の健康及び福祉を害しないように考慮しなければならない」と読み替えて同項の規定を適用するものとし、同法第二条、」と、「第三十二条の五まで」とあるのは「第三十二条の五まで、第三十七条」と、「第五十三条第一項」とあるのは「第五十三条第一項、第六十六条(船員法第八十八条の二の二第四項及び第五項並びに第八十八条の三第四項において準用する場合を含む。)」と、「規定は」とあるのは「規定(船員法第七十三条の規定に基づく命令の規定中同法第六十六条に係るものを含む。)は」と、同条第四項中「同法第三十七条第三項中「使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により」とあるのは「使用者が」と、同法」とあるのは「同法」と読み替えて同条第三項及び第四項の規定を適用するものとする。

 ただし、労基法第33条第3項と公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法第5条により、勤務時間を延長することはできる。これで土曜授業は可能になっていますが教員勤務実態調査を見て取れるように土曜授業の増加や夏休みの大幅な短縮は、心配です。

授業時間の確保メリット・デメリット

メリット

  • スケジュールを変更するだけで、授業時間を確保できる

デメリット

  • 学習意欲が減退する可能性がある。
  • 教職員の労働条件をさらに悪化させかねない。

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パターン2:授業のスピードを上げる(ICT活用)

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 授業のスピードを上げるとはこの単元は例年よりもさっと扱い、この単元はじっくりやるといったように、メリハリを付けていくことを指します。また、教科や単元によっては、家庭学習等で予習を行うことで授業に要する時間を減らしたり、練習問題や宿題はICTを活用して、児童生徒に応じたものを出題するなどして、児童生徒の習熟、習得を図りつつ、スピードアップを図ります。

 とはいえ、学校再開後の授業がスピードアップしては、取り残されるお子さまが多くなる危険性は高くなり、休校中に広がった学力格差などが、再開後さらひらく可能性もあるなど、このパターンにも、問題があります。

 ただし、このパターンでは、社会への悪影響はほとんどなく、かつ教員の労働条件の悪化なども(土曜授業増などと比べれば)招きにくいという利点があります。

授業のスピードをあげる メリット・デメリット

メリット

  • 教職員の労働条件をさらに悪化させにくい。

デメリット

  • 学力格差が、さらひらく可能性がある
  • ICT教育環境の整備が必要。

パターン3:9月入学・新学期制度の導入

まず、9月入学・新学期について、Yahooの意識調査を見てみます。

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 児童生徒にとっては、この秋以降、勉強も部活もやりなおせるので、新型コロナが落ち着いていれば、余裕をもって、学校生活を送ることができます。

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 しかし、このパターン非常に社会影響が大きく、保育園児・幼稚園児から大学生までを、半年留年させるようなものです。秋入学は多くの先進国で採られており、グローバル対応となると主張する方も多いですが、仮に今のまま導入が進めば、他の国よりも、大学入学の年齢は遅れることになる場合もあります。(例えば、4月生まれは、19歳5ヶ月で入学することになるが、海外では18歳で入学するケースもあります)。

 また、大学生や専門学校生、高校生らの卒業も約半年遅れるので、人手不足の業界で4~8月までの間、さらに人手不足となるかもしれません。さらに、学校教育法の改正など、さまざまな制度上の変更が必要となります。

9月入学・新学期は、高校生活などを9月から新しくやり直せる、部活動や学校行事、入試対策なども、今のままよりも余裕をもって進められるというメリットはあるものの、子どもたちへの影響と社会への影響が甚大で、一定の痛みを伴うことでしょう。

9月入学・新学期 メリット・デメリット

メリット

  • 新型コロナウイルスの影響を夏休み終了まで伸ばせる。
  • 新型コロナウイルスで休校になった分の遅れを取り戻す必要がない。
  • 海外との入学、卒業タイミングが合わせやすくなり、学生の人材交流をさらに促せる。
  • 入試時期が4月から7月頃にでき、大雪といった気象条件やインフルエンザといった病気に左右されづらくなる。

デメリット

  • 現在学童や学生の支払う学費は半年分増える
  • 学年分けが変わる
  • 入試、就職活動、就職の時期が変わる
  • 移行期間に1学年で4月2日から翌年9月1日までの17ヶ月分の間に生まれた子供が同学年になる
  • 他の国よりも、大学入学の年齢は遅れることになる場合もある。
  • 法律の改正や手続きに時間がかかる

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パターン4:学習内容を減らす(学習指導要領の削減等)

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 パターン4は、この1年で習得を目指す学習内容を一部はカットするというパターンです。

 基本的には「学習指導要領上で、こことここは今年はやらなくてもいいです」と文部科学省が示すことで、実行できると思います。その方針に対応して、教科書のここは今年はやらないとすることができます。

 パターン2のスピードアップと比べると、学習内容は減るので、お子さまにとっても、教職員にとっても、いくらかは焦らず、じっくり授業に取り組めるかもしれません。

 関連して、学習指導要領の法的な性格については議論はありますが、文科省の見解としては、「日本全国の学校で、最低限、これは教えてください」というものです。したがって、各学校や教育委員会のほうで、勝手にカットするわけにはいきません。(単元ごとにかける時間などの指定はないので、パターン2で述べた進度にメリハリを付けることは各学校や教職員の工夫次第で可能です。)

歴史を振り返っても、週休2日制が完全実施されることに伴い1998(H10)年に改訂された学習指導要領では、従来よりも約3割カットということが進められました。これが、いわゆる「ゆとり教育」批判を招くことにもなったのですが、学習内容を減らすことは不可能というわけではないと思います。

 もちろん、デメリットや課題もあります。英語や数学など、積み上げ式の教科などは、一部だけのカットが本当にうまくできるのか不安もあります。また、大学入試等の扱いでも、不利にならないようにしないといけませんし、大学生や社会人になった際に、未履修だった箇所で、苦労することになるかもしれません。

 もちろん、理想としてはいまの学習指導要領のすべてをきちんと習得できたほうが良いのですが、休校が長引き、短い時間で詰め込むのも問題があります。今年度は、精選された内容をしっかり学習することも選択肢でしょう。

学習内容を減らす メリット・デメリット

メリット

  • じっくりと授業に取り組める。

デメリット

  • 積み上げ教科のカットに考慮が必要
  • 入試内容の変更が必要となる

まとめ

今回は休校長期化への対応パターンについてあげてみました。
社会が新型コロナウイルスで混乱し、子供たちの学習遅れは勿論の事、全中大会やインターハイの中止など学科学習以外の学習機会も奪われていることは大変な負担と感じています。

様々なオプションがあると思いますし、複合での対応も検討されることと思います。今後の動向に注目です。

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